最悪なる災厄人間に捧ぐ
本作は、ケムコ発のテキストアドベンチャーゲーム!
ケムコのテキストADVといえば「レイジングループ」が面白かったですし、他にも「千里の棋譜〜現代将棋ミステリ〜」や「デスマッチラブコメ!」などが最近ではありますね。それらも、いずれ本ブログで紹介したいと思います!
本作は、誰からも見られることのない透明人間の少女「クロ」と、そのクロしか見えない・クロの声しか聞こえない少年「豹馬」の物語。
主人公「豹馬」は小学生(のちに成長)。ある出来事をきっかけに、まわりの人間が見えない、声も聞こえない状態となります。当然まともな生活はおくれず、絶望の淵にいました。そんな豹馬の前に、突如現れたのがクロです。
透明人間であるクロは、豹馬に寄り添い、目となり耳となって献身的に支えます。しかし、クロも普通の人生を歩んできたわけではありません。本作は、タイトルや扉絵に象徴されているとおり、かなり重い話が展開されていきます。
(特にプレイ序盤は)正直プレイしていて気持ちがどんよりしてきたのですが・・・そんな中でも癒しとなったのはクロの笑顔。これがなかったら途中でやめていたかも知れません。
ストーリーを進めていくと、クロが5人になるパラレルワールド的な展開も。
この5人のクロ、成長するにつれて個性が生まれてきます。
そして次から次に、事件や難題が発生。
かつては、陰湿ないじめにあっていた豹馬。
実はクロも、かつて一緒に暮らしていた母親から人間扱いされていなかったという辛い過去があります。
その母親(右手しか見えない)と対峙する場面も・・・。
そうした辛い出来事ごとを乗り越えて、2人は支え合いながら一歩ずつ前に進んでいきます。
ほっこりする水族館でのデート。
2人に希望が見えてきた・・・と思ったその瞬間!
まさかの展開になり、物語が一気にひっくり返ります!
そして、タイトル「災厄人間」の意味が少しずつ明らかに・・・。
破壊された世界を見て、豹馬は打ちひしがれます。
しかし、そんな時でもそばにいてくれるのがクロ。
クロの励ましを受け、なんとか立ち直ろうとする豹馬でしたが・・・
「災厄人間」の呪いをどうしても打ち破れず、ついに抗うことを諦めてしまいます。
そして、ここからはまったく予想できない展開に。
実はここまでは前振りと言ってもいいくらいで、豹馬とクロの物語はここから何重にも紡がれていきます。
しかし、ネタバレになってはいけません。
本ブログでの紹介は、いくつかスクショを載せて終わりとしましょう。
プレイ時間は正確にはわからないのですが40〜50時間といったところでしょうか。先日、無事エンディングを迎えることができました!
クリア後の感想
ほぼ選択肢のないノベルゲーです。ゲーム性は薄いですが、100万字オーバーという文章量は読み応え十分。「豹馬」と「クロ」、固い絆で結ばれた二人の物語をたっぷりと堪能することができます。
ただ、上述のとおりストーリーはかなり重たいです。また、登場人物はほぼ「豹馬」と「クロ」の二人だけで、特に序盤は展開に乏しい感じは否めません。それでも「クロ」と共に、二人三脚で前に進む物語は魅力的で、特に後半、二転三転する展開には引き込まれていきました。そして泣きました。
ノベルゲーというニッチなジャンルだし、どんな話かわからない雰囲気(取っ付きにくさ)もあると思いますが、「レイジングループ」や「シュタインズゲート」などが好きな人にはオススメできるゲームかと思います。それに何と言ってもクロが健気で可愛いく、二人で歩む道は辛いながらも深く記憶に残るものでした。
評価:★★★★★★★☆(7.5点)