「イハナシの魔女」レビュー
手軽かつ面白そうなテキストADVないかな・・・と探したら本作に辿りつきました。沖縄の島を舞台にしたボーイミーツガールな物語。ケムコブランドの安心感もあって購入してみました!
※PS5版をプレイ。
主人公の西銘光(にしめひかる)は、祖父のもとで暮らすことになり、単身で沖縄の離島へ。
しかし、叔父の家を訪ねるもそこは無人。連絡手段もなく途方に暮れる光だったが、偶然、似た境遇の女子リルゥと出会う・・・というストーリー。
最初は心許ない二人の共同生活でしたが、次第に仲間が増え、物語が動き出していきます。
普通こういうテキストADVって、ときどき分岐が出てきて、その選択によって展開が変わることが多いですが、本作はいつまで経ってもそういう選択肢が出てこないのでビックリw
結局、最後までそういう分岐みたいなものはなかったのですが、ここまでゲーム要素がないのは逆に潔よいですね。シナリオ一本勝負!
どうしても紙芝居的な感じにはなってしまいますが、主要キャラクター(主人公以外)はフルボイスでしっかりしゃべってくれるし、声優さんの演技も上手いので、物足りなさみたいなものはあまり感じませんでした。
個人的には赤摘明(あかつみあかり)がお気に入りで、小生意気な小動物っぽいところが好きでしたw
そして肝心なシナリオですが、これは期待どおりとても良かったと思います!
序盤は身近な問題(夢を叶えたいとか、定職につきたいとか)が中心で、これはこれで面白かったのですが、後半になると様相は一変。タイトルに「魔女」とついているとおり伝奇色・ファンタジー色が濃くなってきます。
しかし、決して突飛な話という印象はなく、むしろ不思議な説得力を感じながら進めることができました。シナリオ運びが上手いのはもちろん、こういった物語を許容するだけの雰囲気・パワーが沖縄にはあるのでしょうね。
また、必死に運命に抗おうとする、主人公たちの姿が感動的でした。
号泣・・・とまではいかなかったですが、希望や絶望、喜びや怒りなど様々な感情を与えてくれる良いゲームでしたね。
プレイ時間は15時間ほど。ボイスをしっかりと聞いたので結構時間がかかってしまいましたが、その価値は十分あったように思います。
クリア後のおまけも充実しており、本編では説明なしで終わっていたところもしっかりフォローされています。
沖縄には、本島と石垣島にしか行ったことがないのですが、ほかの島にも是非行ってみたい!と強く思わせてくれる素敵な作品でした。
<良いところ>
- 濃密なストーリー展開
- フルボイス
- おまけが充実
<悪いところ>
- ゲーム性が薄い
- 絵のバリエーションが少ない
- 序盤しかスクリーンショットが撮れない
評価:★★★★★★★★(8点)